現代の酒造において《アル添酒=良くないお酒》は間違いなんです!
近年、三増酒と呼ばれた昔の悪いイメージは薄れていると思いますが、それでもこの業界におりますと、未だにアル添酒(醸造アルコールを添加した清酒)=あまり良くないお酒と誤解されている方は多いと感じます。「アル添酒は安酒で悪酔いしやすいんだよね。」「日本酒はやっぱり純米でしょ!」という声もあります。勿論純米酒には純米酒の良さもありますが、アル添酒にもお酒好きを呻らす多大なるメリットがあります。ここではアル添酒に対する間違ったイメージを好印象に代えるべく、アル添酒の魅力についてご紹介したいと思います。
1. 香味を整える
これが最大のメリットであり、理由でもあります。
日本酒の香味成分は水に溶けにくく、アルコールに溶けやすい性質があります。そのため粕に良い香味が移るのを防ぎ、お酒のほうに溶け込ませることを目的としています。どこかまったりとした味わいもキュッと引き締めて、輪郭のある味わいを表現してくれます。
鑑評会出品用の大吟醸にも使用されます。
2. 保存性の向上
酒質を低下させ、香味を著しく損ねる原因のひとつが火落ち菌の発生です。この火落ち菌は低アルコールの環境下では増殖してしまいますが、ある程度高いアルコール分(16%くらいと言われています)から増殖しにくくなります。醸造アルコールを使用することで火落ち菌の増殖を抑え、お酒の腐敗を防止します。
3. コストダウン
特定名称酒は《1》の理由が多く占め、元々の製造量も多くないため、コストへの恩恵はそれほどではありませんが、『普通酒』については原料のお米に対してのお酒の製造量が増え、コストダウンに繋がる上、味も整い利点は大きいです。日頃の晩酌用のお酒を安定した味と安心価格でご提供できるのは、醸造アルコールの役割も非常に大きいのです!
いかがでしょうか。
大雪渓にも様々なアル添酒がありますが、地元のお客様から全国・世界のお酒のプロまで幅広い方々に大変嬉しい評価もいただいております。
この記事を読んで、少しでも醸造アルコールの添加に対するイメージが良いものに変わっていただけたら嬉しいです!